プロジェクト

FPGAクラスタ

FPGAは論理回路をソフトウェア的に書き換え可能なLSIです。これを使えば簡単に専用ハードウェアを作ることができますので、これを使ってさまざまな分野の科学技術計算を高速化する試みに取り組んでいます。

また、FPGAは日進月歩で新しいデバイスが登場しますので、新しいデバイスが登場したときにスムーズに移行できる仕組みも必要です。FPGAのベンダからもさまざまな設計ツールが提供されますが、FPGAを使いやすい計算デバイスにしていくためには、その上にさらに設計環境を整備してやることも必要です。FPGA間の高速通信をはじめ、さまざまな取り組みを行っています。

短波海洋レーダ

沿岸部の海流や波浪の状況を知ることは漁業や海運、防災などさまざまな分野で重要ですが、これらの状況は観測ブイや海中設置の測定装置によって測定されています。こういった従来型の測定手法では設置されている点のデータしか得られないことや、海上・海中での保守作業にかかる費用が問題です。

短波海洋レーダでは陸上に設置されたレーダ局から海面に電波を照射し、広い範囲の海況を面的に、準リアルタイムに得ることができます。私たちの研究室ではこれを低コストで内製化することに成功し、2019年以降、いくつかの機関と共同で国内数カ所での観測を行っています。さらに広く展開するための低コスト化へ向けた研究を続けてまいります。

原子核物理実験むけのデータ処理システム

原子核の中身を調べたり、それを通じてビッグバン直後の宇宙はどのような状態だったのかを研究するために、さまざまな荷電粒子を光速に近い速度まで加速する粒子加速器と呼ばれる実験装置が使われます。日本にもいくつか設置されていますし、欧州原子核研究機構 (CERN) の LHC が有名です。

これらの加速器には、衝突によって飛び出したさまざまな粒子をリアルタイムに観測するためのデータ収集系が付随します。実験の規模が大きくなるほどデータレートも大きくなり、私たちの研究グループではFPGAによって数百 Gbps を超えるデータのリアルタイム処理をする手法について研究を進めています。